行ってきました「名刀 江雪左文字ー江雪斎、家康、頼宣が愛した刀の物語ー」

2月某日、広島県福山市のふくやま美術館に行ってまいりました。

おめあては特別展「名刀 江雪左文字ー江雪斎、家康、頼宣が愛した刀の物語ー」

www.city.fukuyama.hiroshima.jp

 

江雪左文字が前回展示されていた21年夏ぶりに訪れました福山。21年は日帰りでしたが今回は1泊。”刀剣乱舞の江雪左文字のことが大好きな人格が書いた文章”と”福山1泊旅行記の文章”が混在する記事にはなりますが、3月19日までの特別展に一人でも多くの方が赴かれますように、福山周辺を楽しめますように、という祈りを込めて!思い出をまとめます!

 

1.旅のはじまりと一日目の美術館

新幹線で関東から福山へ。旅行支援も使い、宿と往復新幹線セットのチケットを準備しました。旅慣れていない関東の民、新幹線に乗って西へ行く=修学旅行のため京都駅にて下車 のイメージが脳に刻み込まれており、それより先へ向かうときの高揚感はひとしおです。クリアしたと思っていたゲームにはまだ続きがあったみたいな、個人サイトの隠しページを見つけてまだ読んでいなかった最高の作品を読めると分かったときみたいな。なんだかもっと旅したい。行ったことない場所行って実績解除!って言いたい。朝からわくわくオーラ流出とどまることなしでした。

ロッカーに荷物を預けるか迷ったけど先に宿に行ってチェックイン前に荷物だけお預け。場所も確認したかったし。若干距離があって歩き疲れた感(※まだ旅の最序盤)があったので、ホテルは駅に近い所にするか素直にロッカー使うかがいいねと思いました。または宿を鞆の浦でとっても良かった。今回【駅→ホテル→美術館&周辺観光とカフェ→福山のホテルで一泊→翌朝バスで鞆の浦→バスで福山方面に戻る途中お茶→美術館→買い物→帰】だったので、前日に移動を済ませておけば二日目に(21年のときお参りした)福山八幡宮に行けたのにっとここだけ心残りです!

駅に戻ってお昼ご飯を食べ、いざふくやま美術館へ。

受付で特別展チケットを購入し、明らかにたくさん欲しいものがある物販スペースを通過し、1Fの奥の展示室入口へ。その手前で音声ガイドをレンタルできます。ガイド担当は声優の佐藤拓也さんです。迷わず購入します。

展示チャプターは江雪左文字の歴代所有者をたどる物語調の章立て。各章のタイトルからして分かりやすさとセンスと美しさに溢れていて、本当にどこをとっても素晴らしい展示だと感じました。

「第1章 名刀由緒 板部岡江雪斎と江雪左文字」では江雪斎さんの人物像や人生を数々の資料から辿ってゆきます。茶道や和歌や能なども嗜んだという資料の中で、鞆の浦に立ち寄った際に詠んだ歌のエピソードには現在のこの土地との縁を感じて見入ってしまいました。音声ガイドも必聴です。

「第2章 名刀献上 徳川家康と江雪左文字」「第3章 名刀参陣 徳川頼宣と江雪左文字」家康とその十男・頼宣の手に在った頃にまつわる展示です。江雪左文字は名前の元となった江雪斎の手元に一生涯あったわけではなく、この展示でずらりと来歴を見てみると頼宣のイメージがもっとも強いと感じるくらいです。江雪斎から家康に献上された際に名前が与えられたとされること、江雪斎から見て頼宣は姪の息子に当たるともされる繋がり。江雪斎の秀吉・家康と天下人の臣下であったという存在感、幼いころに家康から引き継いだ江雪左文字を初陣に佩き、また後年息子を超して幼い孫の綱教に江雪左文字が形見分けされたこと・・・。様々な来歴やエピソードを知っていくと、いかに江雪左文字が様々な人の元を守り神のように、象徴的に、または江雪斎本人の力を借りるかのように扱われているか、というのを感じ、本展示のコンセプトの物語性を強く思い感動するのでした。刀剣男士の江雪兄様は左文字たちの兄でありますが、こうしてみると持ち主たちを見守る兄でもあるような、ほんとうに、兄で神様で、兄様・・・好き・・・とおたくは感涙してしまうのでした。また、家康・頼宣親子について今までほとんど知らなかったのですが、晩年に生まれた十男ということで可愛がっているエピソードがたいへん良かったです。家康パパ。頼宣が江雪左文字を携えて大阪冬の陣という初陣を迎えた13歳らしいエピソードも小学生の息子がサッカーの試合に始めて選手として出ることになった、にパロディできそうなくらいほほえましいものでした。ユニフォームに縁起のいいマーク入れてあげたり、始まる前から練習したり、先陣を切れなかったのを悔しがったり悔しがったことを褒めたり・・・。江雪さんと小学生男士審神者の物語、見たい。頼宣の姿を重ねて寂しそうに微笑むところ、見たい。

今回の展示で初出品という付属品等も多いということで、本当に江雪左文字の刀の生涯がぎゅっと凝縮された凄い場所に来ているんだなとそわそわしてしまいました。「第4章 名刀伝来 紀州徳川家と江雪左文字」「第5章 名刀流転 愛刀家たちと江雪左文字紀州徳川家で宝物のように、神様お殿様のように大切にされて過ごし、切なくも手離されることを余儀なくされ、近代の愛刀家に渡り、そしてこの平和な時代の広島県福山市に辿り着くまで・・・。刀の生涯は人間のそれより長く、関わる人間も多く、所有者と共に見てきたものや向けられた感情も多く。そんな中でこんなにも大切にされ、美しい姿をわたしのような一般人Aが拝むことを叶えられるとは。とても不思議でとても有難くて過去にも未来にも自然と思いを馳せてしまう。誰かの人生や感情を知るカギにもなる、こういった大切にされる物って時間の守り手なんだなと感じました。良い物を見た自分に恥じない善き者でありたいな~~~と思います。刀剣乱舞の江雪さんのことが大好きで幸せだし、それでこんな魂と愛がこもったすてきな展示に巡り合えたことも幸せで、ほんとうにはるばる関東からやってきて良かったと強く強く心に刻み込まれたのでした。

21年夏ぶりに見たご本体は相変わらずきっと触れてみたとしたら冷たくて指が張り付いてしまうだろうなと思うまでに澄んだ美しさ。主役として堂々と中央で光を放つその姿。今まで読み解いて来た人々が愛し、大切にしてきた姿だ、と思うと時と物語の積み重ねの力を感じて吸い込まれそうになります。そして今回はすぐ近くに「国宝指定書」も展示されています。わー!おたくがぜんいんすきなやつだー!とまじまじまじまじ眺めてしまいました。そして国宝指定書の写真は本当に素晴らしい図録にも載っています。

図録の購入 - 福山市ホームページ

1行に1回このリンクを挿入したいくらい図録が素晴らしいので、おすすめを越えて必携を越えてハンカチ・ティッシュ・「名刀 江雪左文字 図録」、お風呂にする?ご飯にする?っていうか「名刀 江雪左文字 図録」にしな?って感じです。実際私はホテルについてすぐ寝っ転がって図録見たので間違いないです。

そんなこんなで贅沢な時間を過ごし、一日目の鑑賞は終了です。物販コーナーでは上記図録のほか福山城との限定特別御城印、お香が5種類、ハンドクリームに羊羹にキャンディ、ポストカード、各種刀剣グッズなどなど特別展の名を冠したアイテムがいっぱいでした!確かカード使用不可なのでいろいろご準備をおすすめします。

その後福山城に登り、火縄銃ゲームをやったり景色を楽しんだりして過ごし駅回りをふらふらしたりカフェモカを飲んだりしたあと宿へ。胸がいっぱいでお腹がそんなに減ってなかったのでお惣菜を買っていきました。

カフェモカはこちらで飲みました。軽食もあったし、レシート提示で2杯目半額もあったし、店内もWCまでもきれいでおすすめです。

cafe-bar-mercury.owst.jp

 

2.鞆の浦と紅茶

ホテルの朝食バイキング大好き!スクランブルエッグで皿を埋め尽くしたい!元気にご飯を食べて出発です。大きな荷物をコインロッカーに預け、バスで30分揺られ鞆の浦へ。朝は少し曇りがちでしたが、大きな川、段々開けていく風景、窓の向こうできらきら揺れる大量の水の光。乗物から見る海はどの土地どの海であろうと好き。

ふらふらと歩いて街並みを散策し、高い所に登って絶景を見て、超小規模砂浜でぼーーーっと座り込んで海を見て。まだ曇っていたのではっきりとは見えなかったのですが、四国が見えて感動です。訪れたことが無いというか瀬戸内海自体がそもそも初めてで、波の音をききながら旅の想像を掻き立てられる光景を眺める、ゆったりとした心を洗う時間を過ごせました。次の日筋肉痛が訪れるほどアップダウンの激しいお散歩をし、たくさん写真を撮り、お土産を買って、保命酒のアイスキャンディーを食べながら帰りのバスを待ちました。

そして!ネットで調べて絶対に行こうと思っていた紅茶専門店に立ち寄りました!

www.cafe-afternoontea.com

アフタヌーンティーを楽しみ、物販スペースでお買い物をし、、癒しのひとときでございました。スコーン、ケースから選んだキャロットケーキ、パン、ジャム、ぜんぶ美味しかったです。レモンとベルガモットのジャムがあまりにも美味しくてお土産にも購入しました。キュートな雰囲気ですがランチ営業もあり、店内は賑やかでした。ケーキのテイクアウトだけ利用の方も。また行きたいです。なぜ新幹線の距離なのでしょう!と地団太踏みそうです!キャロットケーキ、すっごく美味しかったです。

10時のバスで福山駅を出てこの時点で14時くらいでしたでしょうか。パディントンさんも頑張れば駅から歩ける距離、バスなら3駅程度です。駅に戻り、「白ばら洋菓子店」でサブレを購入!

www.shirobara.co.jp

ローズサブレ、開けた瞬間からバターのい~い香りが!さくっと噛んだ瞬間も柔らかな風味と軽い食感が楽しめて、紅茶とともに楽しむと至福のご褒美タイム過ごせます・・・!好き!!

 

3.二日目のふくやま美術館

アフタヌーンティーでお腹と心を満たし、いざ帰る前にもう一度ふくやま美術館へ!!

昨日は3時間強居たと思いますが今度は1時間少々しか時間が取れないので、目に焼き付けたいところを焼き付けようという心意気で臨みました。ちなみにふくやま美術館でも福山城博物館でも施設共通割引券が配られるので、1回目の美術館でもらったものをお城で使う→お城の入場でまた券もらう→お城でもらった券を2回目の美術館で使う、で2回目は団体料金として200円引きで入館できました。物販コーナーではポストカードが1枚百円で売られています。つまりポストカード2枚を・・・買える!!!!天才錬金術師だなー!!!「江雪左文字」と昨日のまじまじ見て刃文が好きになってしまった「刀 無名 伝長義」を購入しました。江雪左文字ポストカードに関しては21年夏の時点で入手していて、写真立てに入れてドレッサーに飾って毎日おはようしているんですけどね、それとこれとはね、別の話です。

この日はちょうどロビーでコンサートをやっていて、入館したときは丁度始まる直前でした。ピアノとフルートの生演奏。展示室に入っても聞こえてきて、なんだか雰囲気が合ってすてきだな、と楽しんでいました。ら。しずしずと聞き覚えのあるイントロメロディーが。松任谷由実さんの「春よ、来い」が始まりました。ちょうど江雪左文字を目に焼き付けるべくガラスケースの周りをぐるぐるしていた頃でした。わたしにとって松任谷由実さんといえば刀剣乱舞の現OP「あなたと 私と」です。今遠く離れたこの地にわたしが立っているのは刀剣乱舞を知って江雪さんが大好きになったから。そんな原点の現OPの方の曲、しかも刀剣男士にとって意味ある桜を連想させる曲目。ピアノとフルートの美しいアレンジ。こんな・・・エモくて音MAD脳内再生余裕で妄想PV浮かべながら歩き回れる状況・・・御本体目の前に・・・ある?こんな状況?夢?  おたく全開な思考をひとり抱えながら、涙をこらえながら、愛と感謝を捧げつつタイミングに恵まれたわたしのリアルラックをセルフ褒め讃えしました。

200年後の春から時間をさかのぼって、ここで待っているわたしを見つけてくれたような気がして。まだ見ぬ春にわたしはきっと本丸に居るのだと思えるような気がして。今生きている人がだれも居なくなっても、遠い未来に訪れる春に江雪左文字が在るだろうことで今いるわたしたちが祝福されるような気がして。瞼をぎゅっと閉じてそんな春の夢を見るのでした。

 

4.思いを馳せる帰路

すてきな展示品たちひとつひとつに別れを告げ、お土産を買い、スタバで桜のカードを買い(江雪兄様のご実家で得た桜!兄様の誉桜!という滅茶苦茶理論ながら重要なお土産!)一泊二日の旅は終わりました。

21年に見ることができなかった号じゅらく(太閤左文字)を鑑賞できたことも本当によかったです。小ぶりで美しくて見ごたえがありました。資料によると痛々しく錆びていた時代があり、よくぞそこから現在の状態に・・・と心にくるものがあります。昭和頃の所有者の長尾よねさんのエピソードも初めて知ったのですが、よね様・・・!と思わず手を合わせてしまうストーリーも。こうやって少しずつ色んな方がリレーすることで物語が続いていくのですね。

江雪左文字の付属品などもたくさん、刀もたくさん、目が肥えてきらきらしてそれでも見飽きることが無い、本当にずっとこの場に居たいと思わせる特別展でした。上部当麻も朱銘三木左も分部志津さんも、もはやフィギュアが欲しい赤銅鳥頸太刀も、どれも輝いていました。

またエピソードとして明暦の大火で焼失してしまったという「江雪正宗」・・・家康が「義元左文字」と共に関ケ原・大阪の陣で帯びたとも・・・の存在や、紀州徳川家に在った江雪左文字和歌山城天守閣に飾られて毎日ご飯とお水を供えられていたという話とか、興味深すぎることをたくさん知ることができました。他のエピソードも含めとても大切にされていたことが誰が見ても分かる紀州徳川家が江雪左文字を手放さざるを得なくなった心情を思うとうるりと来てしまいます。物には想いが宿って、想いが物の掛け替えのなさを強固にするってことを改めて思い知りました。わたしも江雪さんのもちもちマスコットたちを大切に大切にしている身ですので(今回の旅にも同行していただきました)誰かが何かを想う気持ちはもはや人生のテーマだなと感じ入りました。

この世に存在するすべての人や物に物語は宿る。宿ったすべての物語に、そして今回江雪左文字の物語を綴り伝えてくださった本特別展に愛と尊敬を感謝を込めて、旅の思い出記録を締めさせていただきます。本当に本当にありがとうございました。

会期終了が迫っているのでもっと早く記事を上げたかったのですが、まだ間に合います!!!!!19日まで!!!!!

www.city.fukuyama.hiroshima.jp

福山、またいつかばらの季節に行きますね。